日本臨床救急医学会と日本救急看護学会は、合同委員会を設置し、救急外来での緊急度のみたて(トリアージ)の開発を進め、カナダで運用中のCTASを導入し、我が国へのCTASの翻訳と導入、これをもとにした日本版JTAS(Japan Triage & Acuity Scale)の開発につき契約を締結、日本臨床救急医学会JTAS検討委員会により検討を重ねてきました。2012年4月に公開するJTASにあわせて、JTASを用いた院内トリアージ講習会(通称JTASコース)をすすめています。
CTASとは「Canadian Triage & Acuity Scale」の略で、カナダで10年以上の開発・運用実績のある救急外来での救急外来患者緊急度判定(トリアージ)システムのことです。
近年、社会構造の複雑化、住民ニーズの多様化により、救急患者の搬送先選定や受け入れが困難な事例が発生するなど、救急医療体制のなかでの救急外来診療システムの機能不全が指摘されています。これは救急医療・時間外診療への需要が増加する一方で、医療サイドで構築している従来型の救急医療システムが時間外診療のニーズとかみ合っていないことに起因していると分析されています。近年の救急部門の受診患者数増加の背景には、高齢化に伴う内因性救急患者の増加といった要因のみでなく比較的、緊急度・重症度の低い時間外診療患者の増加も大きな要員となっていますも。このようにさまざま緊急度の患者を診療するに当たり、国内で共有できる、可能なら国際標準の緊急度の尺度を導入することは喫緊の課題です。
欧米では、従来、戦争や災害時の医療で用いられてきた「トリアージ」の概念を、一般の救急医療、救急外来における患者緊急度判定に導入する研究が先行しておりカナダやアメリカでは実際に運用されています。
カナダではこの問題に先進的に取り組んでいて、1998年より病院外来の患者緊急度判定システムCTAS(Canadian Triage & Acuity Scale)の開発と運用を行っています。
日本臨床救急医学会と日本救急看護学会では、合同トリアージナース育成検討委員会を置き、数年来、救急外来・時間外外来の緊急度のみたて(トリアージ)の開発を進めておりました。その作業中に、カナダで運用中のCTSAに着目し、2009年6月のカナダ救急医学会(開催地:アルバータ州カルガリー市)に代表団を派遣し、我が国へのCTASの翻訳と導入、これをもとにした日本版JTAS(Japan Triage & Acuity Scale)の開発につき契約を締結、日本臨床救急医学会JTAS委員会により冊子体とネット版でのCTAS翻訳版の刊行、CTASプロバイダマニュアルの翻訳出版、CTASプロバイダーコース(直訳版)の開催、を進め、2012年4月にJTASを完成させることを目標としたCTAS/JTASプロジェクトをスタートさせました